*Lully, lulla,*1
 thou little tiny child,
 by by, lully lullay,
 thou little tiny child
 by by,lully lullay.
*ルリ・ルラ、*1
 かわいいちっちゃな赤ちゃん、
 バイバイ、ルリ・ルラ
 かわいいちっちゃな赤ちゃん、
 バイバイ、ルリ・ルラ。

Oh sisters too,
how may we do
for to preserve this day
this poor youngling
for whom we do sing
by by, lullly lullay!
ああ姉妹たちも、
わたしたちどうしたらいいでしょう、
今日一日守り抜くためには
このかわいそうな幼子を、
この子のためにこそわたしたちは歌う、
バイバイ、ルリ・ルラ!

*Refrain
*繰り返し

Herod, the King,
in his raging
changed he hath this day
his men of might
in his own sight
all young children to slay.
ヘロデ大王は
怒り狂い
今日命令を下しました、
王の家来たちに
その目に入る
全ての子供たちを殺せと。

*Refrain
*繰り返し

That woe is me,
poor child for thee!
and ever morn and day
for thy parting
nor say nor sing
by by, lully lullay!
このわたしの嘆きは、
哀れなわが子よ、あなたのため!
もう朝も昼もずっと
死に別れたあなたのために
話すことも歌うこともできない。
バイバイ、ルリ・ルラ!

*1 子供を寝かせるための囃子詞。転じて子守唄。

text & tune: 16世紀英国の宗教劇の劇中歌

さて、ヘロデは占星術の学者たちにだまされたと知って、大いに怒った。
そして、人を送り、学者たちに確かめておいた時期に基づいて、ベツレヘムとその周辺一帯にいた二歳以下の男の子を、一人残らず殺させた。
(マタイによる福音書2:16)

12月28日は「聖なる幼子の日」あるいは「聖嬰児日」として、自分の地位が脅かされることを危ぶんだヘロデ大王に虐殺された幼児たちを記念する日となっている。彼らは長じてから刑死するイエスの苦難と、父なる神や母マリアの悲しみを先立って示したとされる。この日はかつては不吉な日とされ、新規の仕事や埋葬を避けた。また、ヘロデの残虐さを明らかにするために子供をむち打つなどの風習があった。ちなみにロビンソン商会店主の誕生日である。祝え。

このような虐殺事件が実際にあったのかどうかは定かではない。預言にこじつけた福音記者の創作とする説もある。また当時のベツレヘムはごく小さな村であり、実際に2歳以下の男児を全員殺したとしてもせいぜい数十人程度であったと考えられ、歴史書に記すほどの事件でもないと見なされたとする説もある(数が少なけりゃいいというもんでもないが)。
この歌は元々16世紀のコヴェントリーで、職人組合によって演じられた神秘劇の劇中歌であった。ヘロデの兵士たちにみつからないように、泣く赤ん坊をなだめる歌である。19世紀に再発見され、哀切なメロディながらクリスマスの定番となった。

 「ベツレヘムの幼児虐殺」

Westminster Abbey Choir & Martin Neary
収録アルバム: Christmas Carols from Westminster Abbey
The Coventry Carol
Griffin Records
2010-06-15


おまけ:歌詞そのものも人気が高く、様々な作曲家が別メロディをつけている。
近年人気の高いPhilip Stopford (1973-)によるバージョンでは、タイトルはLully, lulla, lullay《ルリ・ルラ・ルレイ》となっている。


収録アルバム: After Silence
Lully, Lulla, Lullay
VOCES8 Records
2020-07-24


こちらはKenneth Leighton (1929-1988)によるバージョン。こちらのタイトルは冒頭の歌詞を取ったLully, Lulla, Thou Little Tiny Child《ルリ・ルラ、かわいいちっちゃな赤ちゃん》あるいは短くLully, lulla《ルリ・ルラ》となっている。


収録アルバム: Once in royal David's city

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