Es Ist Ein Ros Entsprungen《ひとつの若芽が萌えいでた(エサイの根より)》Praetorius
Es ist ein Ros entsprungen
ひとつの若芽が萌えいでた、*1
aus einer Wurzel zart,
ひとつのかぼそい根から。
wie uns die Alten sungen:
父祖たちが歌い伝えたように
von Jesse kam die Art
エッサイの血筋から。*2
und hat ein Blümelein bracht
そしてそれはかわいい花を咲かせた、
mitten im kalten Winter
寒い冬のさなかに、
wohl zu der halben Nacht.
深い夜のさなかに。
Das Blümelein, das ich meine,
わたしの語るかわいい花、
davon Jesaja sagt,
イザヤの預言したその花、*3
hat uns gebracht alleine
それをもたらした若芽こそは
Marie, die reine Magd;
マリア、清らかなおとめ。
aus Gottes ew'gem Rat
わたしたちの神の果てしない思し召しが
hat sie ein Kind geboren,
彼女にみどりごを産ませ給うた、
welches uns selig macht.
わたしたちを幸(さき)わう子を。
Das Blümelein so kleine,
そのかわいい花はそれは小さく、
das duftet uns so süß,
その香りはわたしたちに甘く匂う。
mit seinem hellen Scheine
その明るい光によって
vertreibts die Finsternis:
暗闇は追い払われる。
Wahr' Mensch und wahrer Gott,
これこそまことの人にしてまことの神、
hilft uns aus allen leiden,
わたしたちを全ての苦しみから助け出し
rettet von Sünd und Tod.
罪と死から救われる方。
*1 Rosは本来「芽」を意味するが、ドイツ人でも「ばら」と誤解する人は多い。また、ばらと解しても問題はない。芽はマリア、花はイエスを指す。
*2 エッサイ(エサイ)は旧約聖書サムエル記に登場する英雄、ダビデ王の父。ベツレヘム出身で、羊飼いの一族であった。キリスト教以前のユダヤ教では救い主はダビデ王の血筋から生まれ、ベツレヘムにあらわれるとされていた。マタイによる福音書の冒頭で、イエスの血筋が長々と語られるのは、イエスがダビデ王の子孫であることを強調し、正当な救い主であることを示すため。民間伝承ではマリアもダビデ王の血筋に連なるとしている。
*3 旧約聖書を代表する預言者のひとり。ユダヤの民に対する警告、来たるべき救世主と公正な世界の到来を預言した。その預言『イザヤ書』に登場する、人々に軽蔑され処刑される謎めいた人物「苦難の僕(しもべ)」はキリストの受難を予告しているとされる。
text & tune: 16世紀ドイツ民謡をMichael Praetorius (1571-1621)が編曲
エッサイの株からひとつの芽が萌えいで
その根からひとつの若枝が育ち
その上に主の霊がとどまる。
知恵と識別の霊
思慮と勇気の霊
主を知り、畏れ敬う霊。
彼は主を畏れ敬う霊に満たされる。
目に見えるところによって裁きを行わず
耳にするところによって弁護することはない。
弱い人のために正当な裁きを行い
この地の貧しい人を公平に弁護する。
その口の鞭をもって地を打ち
唇の勢いをもって逆らう者を死に至らせる。
正義をその腰の帯とし
真実をその身に帯びる。
(イザヤ書11:1-5)
ドイツのライン地方に伝わるキャロルで、文献初出は1599年。ミヒャエル・プレトリウスが1609年に修正・編曲して自分の歌集に加えた。もとは聖母賛歌で歌詞が23節もあったが、プレトリウスがイエス寄りの歌詞を抜粋してまとめ、以降ドイツのキャロルとして最もよく知られるもののひとつとなった。
ヘラルト・ダヴィト(c.1460-1523)
エサイの根より - Wikipedia
ja.wikipedia.org
Amarcord
収録アルバム: Medieval and Renaissance: Vocal Music for the Christmas Season
おまけ:神学者でもあった中山昌樹(1886-1944)による美しい日本語訳詞がある。讃美歌第96番、古今聖歌集第19番(現行の日本聖公会聖歌集では第72番、表記としては「エッサイの根」)として収録。
エサイの根より
生(お)いいでたる
くすしき花は
咲きそめけり。
わが主イエスの
うまれたまいし
このよき日よ。
イザヤの告げし
すくいぬしは、
きよき母より
うまれましぬ。
主のちかいの
今しも成れる
このよき日よ。
妙(たえ)にとうとき
イエスの御名の
香りは遠く
世にあまねし。
いざやともに
よろこびいわえ、
このよき日を。
生(お)いいでたる
くすしき花は
咲きそめけり。
わが主イエスの
うまれたまいし
このよき日よ。
イザヤの告げし
すくいぬしは、
きよき母より
うまれましぬ。
主のちかいの
今しも成れる
このよき日よ。
妙(たえ)にとうとき
イエスの御名の
香りは遠く
世にあまねし。
いざやともに
よろこびいわえ、
このよき日を。
日本でも人気が高い歌詞で、YouTubeでたくさん「歌ってみた」があがっている割にCD音源としてはあまり収録されない。立教女学院のCDくらいでしか見たことがない。
おまけその2:Hugo Distler(1908-1942)による《エサイの根より》アレンジ。本来は朗読と様々なコラールを組み合わせた合唱組曲《Die Weihnachtsgeschichte(クリスマス物語)》に組み込まれていたもので、そのうち《エサイの根より》のアレンジは全7曲もある。
ディストラーは20世紀初期のドイツの作曲家。既存のメロディに可憐なアレンジを加える古い手法を得意としたが、戦争や仕事やナチのプレッシャーで精神を病み、34歳の若さで自殺した。
シャンティクリア
収録アルバム: Christmas with Chanticleer & Dawn Upshaw
(CDのみ)
さらにおまけ:ハウエルズ作曲によるA Spotless Rose《汚れなき薔薇》に使われている歌詞は、この《エサイの根より》の英訳。
シャンティクリア
収録アルバム: Christmas with Chanticleer & Dawn Upshaw
(CDのみ)
さらにおまけ:ハウエルズ作曲によるA Spotless Rose《汚れなき薔薇》に使われている歌詞は、この《エサイの根より》の英訳。
《エサイの根より》は英語圏でも人気が高く、Lo, How A Rose E'er Blooming《見よ、いかにして薔薇の咲きそめしか》という英語タイトルもある。A Spotless Rose《汚れなき薔薇》Howells : ロビンソン商会 歌詞対訳works
A spotless Rose is blowing,Sprung from a tender root,Of ancient seers' foreshowing,Of Jesse promis'd fruit;Its fairest bud unfolds to lightA mid the cold, cold winter,And in the dark midnight.汚れなき薔薇は咲き初めけり、柔らかき根より生いいでたり。いにし
cockrobin.blog.jp
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