Danny Boy(Londonderry Air)《ダニー・ボーイ(ロンドンデリーの歌)》
O Danny Boy,
the pipes, the pipes are calling
from glen to glen
and down the mountainside;
the summer's gone and all the roses falling
'tis you, 'tis you must go and I must bide.
ああダニー・ボーイ、
バグパイプの音が呼んでいるわ。*1
谷間から谷間へ響き、
山の斜面を駆けおりる。
夏は過ぎる、バラは皆枯れ落ちる。
そしてあなたは行く、わたしは待つ。
But come ye back
when summer's in the meadow
or when the valley hushed
and white with snow;
'tis I'll be here
in sunshine or in shadow.
O Danny boy, o Danny boy,
I love you so.
でももしもあなたが戻ってきたら、
夏の草ざかりにも、
谷が静まりかえって、
雪で白くなる頃にも、
わたしここにいるわ、
日向の時も日陰のときも。
ダニー・ボーイ、ダニー・ボーイ、
わたしはあなたが大好きよ。
But if ye come
and all the flow'rs are dying,
if I am dead,
as dead I well may be,
You'll come and find
the place where I am lying
and kneel and say an Ave there for me.
でももし、あなたが帰ってきて
花が全部枯れていたら。
もしわたしが死んでたら、
きっと死んでいるでしょうけど、
あなたは探し出してくれるでしょう、
わたしが眠っている場所を。
そしてひざまずいてお祈りしてくれる、わたしの為に。*2
And I shall hear,
though soft, you tread above me
and all my grave will warmer, sweeter be
for you will bend
and tell me that you love me
and I shall sleep in peace
until you come to me.
わたしはきっと聞くでしょう、
あなたがわたしの上をやわらかく踏む音を。
そしてわたしのお墓は温かくやわらぐ、
あなたが身をかがめて、
わたしに愛してるよって言ってくれるから。
わたしは安らかに眠るでしょう、
あなたがわたしのもとに来る日まで。
*1 バグパイプというとスコットランドのもの(いわゆるグレートハイランドバグパイプ)が有名だが、アイルランドでもよく使われる楽器。他にふいごを肘につけるアイルランド独特の「イリアンパイプス」というタイプもある。この場合は作詞者がどっちを想定してるのかはわかりません(だって生粋のイギリス人だもん)。古くはバグパイプの音を戦闘開始の合図にしていたといい、戦争を予感させる音を暗示している。
*2 Aveといえばラテン語で「めでたし」とか「ごきげんよう」とかいう意味になるが、ここでは「アヴェ」で始まるカトリックのお祈りを指している。なぜならアイルランドはカトリックが多いから。
text: Frederic Edward Weatherly(1848–1929) バース在住の弁護士であったが、三千もの歌に歌詞をつけた作詞家でもあった。
tune: アイルランド民謡。通称Londonderry Air《ロンドンデリーの歌》。ロンドンデリー在住だったJane Rossに採取されたことに由来する。作詞者のウェザリーは、アメリカ在住の義妹からこのメロディを紹介してもらい、ダニーボーイの歌詞をあてた。また聞きのまた聞きである。
元来はタイトルも歌詞もない器楽曲であり、しかもロス以前に言及された事がないという謎のメロディだった。その後の研究により、伝承曲Aislean an Oigfear《若者の夢》及びThe Confession of Devorgilla《デヴォージラの告白》のバリエーションのひとつであったことがわかっている。メロディが出版されて以降多くの歌詞がつけられたが、もっとも有名なバージョンがこの《ダニー・ボーイ》。恋人同士の歌とも読めるが、出征する息子を送る親の歌とする解釈もある。そしてその場合大体「父親」の気持ちという意見が多いらしい。母親にしちゃったよ!
バージョンによっては「will」「shall」が入れ替わっていることもある(意味に違いはほとんどないが)。この歌詞が作られた1910年は第一次世界大戦勃発前。第二次世界大戦中のイギリス兵たちを描いた映画『メンフィス・ベル』、アイルランド系ギャングの友情と美学をテーマにした『ミラーズ・クロッシング』でも劇中歌として使われている。
そして、肝心のアイルランドでは実はそんなに人気のある曲というわけでもないらしい。(NHKのららら♪クラシック情報)
そして、肝心のアイルランドでは実はそんなに人気のある曲というわけでもないらしい。(NHKのららら♪クラシック情報)
収録アルバム:Danny Boy (Arr. by Joshua Pacey)
おまけ:英国の作曲家で打線を組んだら間違いなくメンツに入るであろう有名人C.V.スタンフォードのIrish Rhapsody《アイルランド狂詩曲》の第一番に取り入れられたことでも知られる。アイルランド出身でありながら(少なくとも教会音楽に関しては)アイルランドっぽさを抑えた曲を作っていたスタンフォードだったが、年を取って「よく考えたらクニの歌もええもんやな…」と思うようになった結果らしい。
5:00~
おまけその2:日本語では、なかにし礼の「おおダニーボーイ いとしきわが子よ いずこに今日は眠る…」の訳詩もある。
収録アルバム:ザ・ベスト 庭の千草~鮫島有美子が歌う世界のうた
讃美歌または聖歌としては、《この世の波風さわぎ》がある。
クッソどうでもいいおまけ:NHKで人類から嫌われがちなゴキブリ・紫外線など様々なものにスポットを当てた『ヴィランの言い分』のダニ回でエンディングに使われた。
やめろやダニーボーイ聞くたびに思い出しちゃうだろ!
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