The Wren In The Furze《ハリエニシダの中のミソサザイ》The Chieftains
The wren oh the wren he's the king of all birds,
On St. Stevens day he got caught in the furze,
So its up with the kettle and its down with the pan
Won't you give me a penny for to bury the wren.
ミソサザイよミソサザイ、彼こそは万鳥の王*1
聖ステファノの日にハリエニシダのしげみで捕らえられ、*2 *3
その身はやかんと共にあげられ、鍋と共におろされる
ミソサザイを葬るために1ペニーのおめぐみを
Oh its Christmas time that's why were here,
Please be good enough to give us an ear
For we'll sing and we'll dance if you give us a chance,
And we wont be comin' back for another whole year.
このクリスマスの時に我らがここにいる訳を
存分にお聞かせしますから耳をお貸しください
あなたがたが望めば我らが歌い踊るその訳を
そして毎年ここに戻って来たがる訳を
We'll play kerry polkas, they're real hot stuff,
We'll play the masons apron and the pinch of snuff,
Jon Maroney's jig and the Donegal reel,
Music made to put a spring in your heel.
《ケリー・ポルカ》を演奏しましょう、激アツですよ*4 *5
《メイソンのエプロン》や《嗅ぎタバコひとつまみ》も演奏しましょう*6 *7
《ジョン・マロニーのジグ》と《ドニゴールのリール》も*8 *9
音楽はみなのかかとを浮き立たせる
If there's a drink in the house, may it make itself known,
Before I sing a song called "the Banks of the Lowne",
And I'll drink with you with occasion in it
For my poor dry throat and Ill sing like a linnet.
もしこちらのお屋敷に酒があるなら、ぜひ知らせてください
《ラウンの土手》という歌を歌う前にはね*10
機会さえ頂ければあなたがたと飲みましょう
みじめに乾いた喉をうるおし、ムネアカヒワのように歌うため
Oh please give us something for the little birds wake,
A big lump of pudding or some Christmas cake,
A fist full o' goose and a hot cup o' tay
And then we'll soon be going on our way.
小鳥たちを目覚めさせるために何かおめぐみを
クリスマスプディングかケーキの大きなかたまりを
ガチョウの丸焼きにあたたかい紅茶を一杯
そしたらすぐにここから立ち去りますとも
*1 スズメよりも小さい、地味な茶色の鳥。しかし古くから「鳥の王」「冬の王」「旧年の象徴」とみなされていた。新年の象徴であるコマドリ(ロビン)とカップリングされることもある。ヨーロッパの民話によれば、鳥たちの王を決めるために鷲と競争し、鷲を出し抜いて王になったという。
*2 聖ステファノは新約聖書使徒言行録に登場する人物で、12月26日の聖人。この日は「ボクシング・デイ(箱の日)」と呼ばれ、25日にも働いていた人たちをねぎらってプレゼントしたり、恵まれない人たちのために募金をつのったりする。ミソサザイがこの日に殺されるのは、聖ステファノの脱獄を邪魔したためとか、聖ステファノのペットで聖ステファノとともに殉教したためとか、いろいろな説話がある。Cock Robin And Jenny Wren《コック・ロビンとジェニー・レン》Baby's Opera
'Twas on a merry time, When Jenny Wren was young, So neatly as she danced, それは愉快な時代だった、 ミソサザイのジェニーが若かりし頃*1 彼女がそれはそれは上手にダンスして、
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*3 エニシダの近縁種で黄色い花をつけるハーブ。その名の通り針のような棘を多く持ち、鳥が防御のためにあえてこの植物に巣を作ることもある。花は食用になる。
*4 《ケリー・ポルカ》は実在する曲。以下怒涛の曲名が羅列されるが、いずれも実在する楽曲。ちなみにケリーはアイルランドの南西部にある湖沼の多い山岳地帯。
*5 hot stuffは直訳すると「熱いモノ」。「エロい奴」という意味のこともある。
*6 《メイソンのエプロン》とは本来石工などが作業の際につけるエプロン。転じて、石工の組合であったフリーメイソンのメンバーが着用する、またはシンボルとして使用するエプロン。さらに転じて、このエプロンをつけて踊るアイルランドのダンス曲のひとつ。
*7《嗅ぎタバコひとつまみ》はこんな曲。
*8《ジョン・マロニーのジグ》とあるが、John Mahony's Jig《ジョン・マホニーのジグ》の言い間違いである可能性がある。《ジョン・マホニーのジグ》はアイルランドのフィドル奏者であったDenis Murphy(1910 – 1974)の作品。 *9 《ドニゴールのリール》はこんな曲。「リール」はフォークダンスの一種。
*10《ラウンの土手》は、Lough Erne Shore(The Banks of The Lough Erne)《ロー・アーンの岸辺》というアイルランド民謡を指している可能性がある。
text & tune: アイルランド民謡
アイルランド音楽尽くしのにぎやかな曲。《We Wish Your Merry Christmas》と同じく、貧しい人などがほどこしを求める歌の一種。次々と曲名をあげるのは、「何かくれないとお前の家の前で延々と歌いまくってやるぞ」という脅迫にも取れる。
We Wish You A Merry Christmas《楽しいクリスマスがありますように》 : ロビンソン商会 歌詞対訳works
Rutterによる編曲バージョンWe wish you a Merry Christmas,We wish you a Merry Christmas,We wish you a Merry Christmas,and a Happy New Year!あなたがたに楽しいクリスマスがありますように、あなたがたに楽しいクリスマスがありますように、あなたがたに楽しいクリスマ
cockrobin.blog.jp
近年までヨーロッパ各地に、冬のある特定の日にミソサザイを殺し、新年を迎えるという奇妙な風習があった。ミソサザイは通常はみだりに傷つけてはならない神聖な鳥とされていたが、聖ステファノの日すなわち12月26日に限っては巣から叩き出され、追い回されて殺され、その遺体をうやうやしく飾られて、着飾った音楽隊とともに家々をめぐり、お金や食べ物やお酒の寄付を募り、最後には燃やされて埋葬された。寄付をするとミソサザイの羽をもらえることもあり、この羽は幸運のお守りになった。この複雑な儀式は古代ケルトの祭礼に由来すると考えられており、フレイザーの『金枝篇』でいうところの「聖なる王の殺害と再生」をあらわしている。《ハリエニシダの中のミソサザイ》は寄付を求める歌として歌われ、さまざまなバリエーションがある。
近年ではミソサザイを殺さずに、はりぼてか剥製を使って行われている。
Wren Day - Wikipedia
en.wikipedia.org
この祭礼は異教の要素を多分に含んでいながら、カトリックが優勢なはずのアイルランドでも盛んにおこなわれていた。アイルランドのマン島の神話によれば、ミソサザイはTehi Tegiという名の妖精の女王で、魅了された男たちが彼女を追いかけまわして家庭も仕事も顧みなくなってしまった。彼女は男たちを川へ誘いこんで全員溺死させ、自分はミソサザイになって逃げ去った。そして島から追放されたが、罰として年に一年狩られるときに戻ってくるのである。





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