Say, Love if ever thou didst find,
A woman with a constant mind,
None but one,
And what should that rare mirror be,
Some goddess or some queen is she,
She, she, she and only she,
She only queen of love and beauty.
愛の神よ、お前が今までに*1
堅固なる心を持つ女を見たことがあるとすれば、
それはただひとりだけ。
なんと稀なる女のかがみ、
いかなる女神、あるいは女王なのか。
彼女、彼女、彼女、彼女だけが
彼女だけが愛と美の女王なのだ。

But could thy fiery poison'd dart
At no time touch her spotless heart,
Nor come near?
She is not subject to Love's bow;
Her eye commands, her heart saith no.
No, no, no, and only no,
One no another still doth follow.
お前のひりつく毒矢でも
彼女の汚れ無き心に触れるまもなく
近くに寄ることすらかなわぬのか?
彼女が愛のしもべとなることはなく
その目は見下し、心は否と言う、
否、否、否、ただ否と
否の他に答えはない。

How might I that fair wonder know,
That mocks desire with endless no.
See the moon
That ever in one change doth grow,
Yet still the same, and she is so;
So, so, so, and only so,
From heav'n her virtues she doth borrow.
いかでかの麗しき不可思議をわがものとできようか、
飽くまでもわが欲望を否むものを。
月を見よ、*2
それは刻々と姿を変え続けるが、
変わらず同じもの、彼女もまた同じ、
同じ、同じ、同じ、ただ同じ、
彼女が天より借り受けたその美徳は。

To her then yield thy shafts and bow,
That can command affections so:
Love is free,
So are her thoughts that vanquish thee,
There is no queen of love but she,
She, she, she and only she,
She only queen of love and beauty.
お前の矢と弓は彼女に屈する、
彼女は想いを意のままにできるゆえに。
お前は自由だ、
だが彼女の思慮はお前を打ち破るもの。
彼女の他に愛の女王はいない、
彼女、彼女、彼女、彼女だけが
彼女だけが愛と美の女王なのだ。

*1 キリスト教的な愛ではなく、ギリシャ神話でいうエロース、ローマ神話でいうアモルもしくはクピドに相当する。翼と弓矢を持つ童子あるいは青年の姿で表現される、愛の寓意。その矢で射られたものは理性を失うほどの恋心を燃やす。
*2 処女王とうたわれたエリザベス1世を処女神であるとされた月の女神に例えている。また、新月・三日月・満月という位相は女性の少女・母・老婆という三面性を示現すると考えられた。

text & tune: John Dowland(1563-1626)

ダウランドはリュート奏者でもあった。青年時代までイギリスで過ごすが、王室付き音楽家を目指し就職活動するも失敗。つらい。ドイツ、イタリア、デンマークを渡り歩き、デンマーク王室付きリュート奏者として働きつつ、作曲集出版にも励んだ。

この曲はエリザベス1世に捧げられたマドリガルだが、これが発表された頃にはエリザベスはすでに死去している。また、ダウランドがイギリス王室付き音楽家になるための就職活動の一環であったという説もある。しかし「国と結婚した」と公言し、大航海時代を制し、大英帝国繁栄の基礎を築きあげたエリザベスに対する国民の崇敬はなみなみならぬものであり、流行歌であるマドリガルの題材としても不思議ではない。
ダウランドはこの曲を収録した第三作曲集出版後、五十路にして悲願であった王室付きリュート奏者になっている。やったぜ。

コンソート・オブ・ミュージック & アントニー・ルーリー
収録アルバム: Dowland: The Collected Works


アンドレアス・ショル & Andreas Martin
収録アルバム:English Folksongs & Lute Songs
Say, Love, if ever thou didst find
harmonia mundi
2007-07-31



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