Greenwood Sidie-O(Cruel Mother)《緑の森の方へ(残酷な母)》Ian Tyson & Sylvia Fletcher
All alee alonie
Fell in love with her father’s clerk
Down by the greenwood sidie-o
ヨークに令嬢が住んでいたとさ
(たったひとりでひっそりと)*1
彼女は父の書記と恋に落ちた
(緑の森の方へ降りておいで)*2
She loved him up she loved him down
All alee alonie
Loved him till he filled her arms
Down by the greenwood sidie-o
彼女は男をすみからすみまで愛した
(たったひとりでひっそりと)
男が彼女を身重にするまで*3
(緑の森の方へ降りておいで)
She leaned her back against an oak
All alee alonie
First it bent and then it broke
Down by the greenwood sidie-o
女がオークの木を背にしてもたれかかると*4
(たったひとりでひっそりと)
それはたわんでまっぷたつに折れた
(緑の森の方へ降りておいで)
She leaned her back against a thorn
All alee alonie
There she had two fine babes born
Down by the greenwood sidie-o
女がサンザシを背にしてもたれかかると*5
(たったひとりでひっそりと)
ふたりのかわいい幼な子を産み落とした
(緑の森の方へ降りておいで)
She took out her wee pen knife
All alee alonie
There she took those sweet babes’ life
Down by the greenwood sidie-o
女はペンナイフを取り上げて*6
(たったひとりでひっそりと)
愛らしい幼な子の命を絶ってしまった
(緑の森の方へ降りておいで)
She rubbed the blade against her shoe
All alee alonie
The more she rubbed the redder it grew
Down by the greenwood sidie-o
女は刃を靴でこすったが
(たったひとりでひっそりと)
こするほどに赤さは増すばかり
(緑の森の方へ降りておいで)
She went back to her father’s hall
All alee alonie
Saw two babes a playin’ at ball
Down by the greenwood sidie-o
女が父の屋敷へ戻ると
(たったひとりでひっそりと)
二人の幼な子がまり遊びしているのを見た
(緑の森の方へ降りておいで)
O babes, o babes, if you were mine
All alee alonie
I’d dress you up in scarlet fine
Down by the greenwood sidie-o
赤ちゃん、赤ちゃん、もしわたしの子だったら
(たったひとりでひっそりと)
素敵な緋色の服を着せてあげるのに
(緑の森の方へ降りておいで)
O mother, o mother, when we were yours
All alee alonie
Scarlet was our own heart’s blood
Down by the greenwood sidie-o
母さん、母さん、わたしたちがあなたの子だった時
(たったひとりでひっそりと)
緋色だったのはわたしたちの胸の血だったよ
(緑の森の方へ降りておいで)
O babes, o babes, it’s heaven for you
All alee alonie
Mother, o mother, it’s hell for you
Down by the greenwood sidie-o
赤ちゃん、赤ちゃん、天国へ行くのね
(たったひとりでひっそりと)
母さん、母さん、あなたは地獄行きだね
(緑の森の方へ降りておいで)
*1 aleeには風下、下手という意味がある。孤独にこっそりと何事かを行っている様子をあらわしていると解釈した。
*2 「緑の森」は民謡の世界においては異界の象徴。また性的なニュアンスを含む場所。
*3 直訳すると「男が彼女の両腕を満たした」。一般的には、抱えきれないほどの贈り物や愛情を与えるという表現だが、その後の展開を見るに「(腕に抱えさせる)赤ん坊をもたらした」という解釈ができる。
*3 直訳すると「男が彼女の両腕を満たした」。一般的には、抱えきれないほどの贈り物や愛情を与えるという表現だが、その後の展開を見るに「(腕に抱えさせる)赤ん坊をもたらした」という解釈ができる。
*4 堅く強く、木材として上等な木。あとどんぐりの木。樫と誤訳されるが、オークとは樫と楢の両方を含む。雷を引き寄せる聖なる木、森の王とされる。丈夫なオークがたわんで真っ二つに裂けるほどの陣痛の苦しみをあらわす。
*5 トゲを持つバラ科の木。甘く濃厚な匂いの花と、甘酸っぱい赤い実をつける。妖精にとってお気に入りの木であるとともに、多産の象徴でもあるが、裏を返すとセックスのシンボルでもある。
*6 羽ペンの先を削るためのナイフ。不実な書記の持ち物でもあったとすれば、双子の父親も間接的に子殺しに参加したことになる。
text & tune: 17世紀ごろの英国民謡
チャイルドバラッド20番《残酷な母》の異形。
*5 トゲを持つバラ科の木。甘く濃厚な匂いの花と、甘酸っぱい赤い実をつける。妖精にとってお気に入りの木であるとともに、多産の象徴でもあるが、裏を返すとセックスのシンボルでもある。
*6 羽ペンの先を削るためのナイフ。不実な書記の持ち物でもあったとすれば、双子の父親も間接的に子殺しに参加したことになる。
text & tune: 17世紀ごろの英国民謡
チャイルドバラッド20番《残酷な母》の異形。
文献初出は1638年、あるいは1684年から1695年の間にロンドンで出版されたブロードサイド・バラッド(歌物語の大判チラシ)「The Duke's Daughter's Cruelty: Or the Wonderful Apparition of two Infants whom she Murther'd and Buried in a Forrest, for to hide her Shame(公爵令嬢の残酷な所業、あるいは恥を隠匿すべく殺害され森に埋められた二人の幼子の不思議な出現)」を原型とする。
「残酷な母」の出自はバージョンによって異なり、ここではヨークの令嬢となっているが、シャーリー・コリンズのバージョンでは北国(スコットランド)の牧師の娘になっている。
「残酷な母」の出自はバージョンによって異なり、ここではヨークの令嬢となっているが、シャーリー・コリンズのバージョンでは北国(スコットランド)の牧師の娘になっている。
母親は「天国へ」と歌っているが、妖精の木の下で産み落とされ、洗礼を受ける間もなく殺された子供たちはキリスト教の加護が及ばない妖精と化しており、天国へ行けるかどうかかなり疑わしい。ヨークの令嬢の罪は婚前交渉だけではなく、子供たちを天国へ行けなくしてしまったことにあるのかもしれない。
同じく未婚の母の子殺しを題材にした民謡に、《おとめと巡礼》がある。
同じく未婚の母の子殺しを題材にした民謡に、《おとめと巡礼》がある。
The Maid And The Palmer《おとめと巡礼》Brass Monkey
Oh, the maid went down to the well for to wash, And the dew fell down from her snow-white flesh, おとめが洗濯をしに井戸へ降りていく、 雪白の肌から汗がこぼれる
cockrobin96.blogspot.com



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